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浜田到の作品(薔薇失神から)
背さむきわが死を聴けり夕雲に立てば少女の反映も永く
榲桲(マルメロ)を文鎮となし書く挽歌蒼き暑熱の土にし消えむ
火の匂ひ、怒りと擦れあふ束の間の冬ふかくして少年期果つ
熟るるまじと決意する果実、雷の夜の固き芯めく少女とあり
炎天に黒きまばたきせしひとよ記憶のいまも慄ふ睫毛もつ
妹、その微睡の髪薫る日を血よりさみしきものかよふかな
尼僧帽俯向くとき冴ゆる妹に 十月の光に吾あらがへり
噴くごとき妬心かすかになりゆきて吾の所有の裡にかへり来
にくしんの手空に見ゆかの昧き尖塔のうへに来む冬をまつ
母狂(ふ)れし黎明(よあけ)、すなはち昏き音樂のなかの日没いつ聴き終へむ
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